SMAP×SMAP=Forever

ナカゴロ寄りのall担。珍しい中学生ファンです…

「陽気なジャケット」

 SMAPのレビュー第1回目は11作目のオリジナルアルバムSMAP 012 VIVA AMIGOS!」。

 

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まず目につくのがこのまぬけで陽気なジャケット。

 

それまでのアルバムジャケットというとSMAPの「オトナのかっこよさ」を強調したものが多かったが何を思ったのかこの作品でシフトチェンジ。

荒野を背景にメキシコ風のおっさんと「たいせつ」のハリネズミ君?が登場。

 

ちなみにこのジャケットを手がけたのは信藤三雄さんという方。ユーミンやサザンのアルバムジャケットも手がけている超有名ディレクターのジャケットなんだから何らかの深い意図があるんだろう(多分)

 

 

 

 

 

収録曲の内容に入る前に少し余談。SMAPのアルバムには他のグループには無い、ある形態の楽曲が必ず収録されている。それはインストゥルメンタル(以下インスト)だ。一言で言うと「歌のない楽器の演奏のみの楽曲」。アルバムによっては少しコーラスが入っているものもあるのだが、SMAP本人達は一切歌っていない。

 

でも彼らはアイドルであり歌手だ。「歌ってなんぼのはずであるアイドルなのにインストなんてあってもいいの?」と思うのが普通である。

しかしそういった斬新なことをしないと彼らは芸能界で生き残れなかった。SMAPがデビューしたのは音楽番組が次々に消えていき「アイドル氷河期」と呼ばれた時代。そんな中で生き残っていくのは今までとは違ったやり方をするしかなかったのだ。

 

話はだいぶ脱線してきたがインスト曲は必ず1曲目に収録されていて、タイトルも「Theme of ◯◯◯」(◯◯◯はアルバムのタイトル番号)になっている。つまり本作の場合は「Theme of 012」となるのだ。

 

 

 

 

 

「Theme of 012」はミステリアスで重い雰囲気で始まる。と思えばコーラスが入り一瞬で明るく盛り上がるという転調が激しいインスト曲だ。

しかし終盤は少し盛り上がりに欠ける。自分はあまり好きではない盛り上がり方(笑)

終盤のコーラスは人によって好き嫌いが分かれるが、全体的には満足できる仕上がりだろう。

 

 

「Peace!」は26thシングル。アルバムバージョンニューヨークでリボーカル、リミックスされていてバックにはあの有名ドラマー、オマー・ハキムが。

アルバムバージョンはシングルバージョンに比べパート別のボーカルがよく聞こえるようになっていて、特に木村・稲垣パートは二人の声(特に木村が)だと判別できる。シングルバージョンは「Smap Vest」に入っているので聞き比べてみても面白い。

 

 

「Possesion Possesion」はこのアルバムで最も良作だと思える。SMAPの歌唱力の中心を担っているとも言える木村・稲垣ペアによる楽曲なのだが、とても怪しげな印象が特徴だ。「音源キラー」と呼ばれるほど感情がこもりすぎてアレンジをしすぎる熱い木村拓哉と、逆に感情を入れすぎず原曲通りに歌おうとしてクールに聞こえる冷たい稲垣吾郎という相対する二人だが、そんな二人が歌うと妙に惹かれるものがある。

特にこの曲はそんな二人の印象をどストライクに突いている。象徴的なフレーズの多いAメロを稲垣がクールに決め、Bメロを木村がアレンジを効かせ歌い上げる。そしてなんと言ってもサビがすごい。木村のアレンジを稲垣がいい具合に補正しているのだ。すると、とてもきれいで自然に聞きやすいものになる。改めて二人の「相性の良さ」を感じられる曲だ。

 

 

「Duo」SMAPの下3人と呼ばれる稲垣・草彅・香取による楽曲なのだが、このトリオはなぜか相性が悪い。「Pop Up! SMAP」の「paripia!」という曲もこのトリオなのだがソロパートしか無いためとても聞きやすい。しかしこの曲はユニゾン。曲の雰囲気は素晴らしいのだが、どうもボーカルが致し方ない。

歌声にはどうも性格が出るようで、稲垣はクールな性格が出るのか感情を入れず原曲通り歌い上げる。草彅は弱気な性格通り自信なさげに歌うため、存在感が今以上に無い。一方香取はその逆で天真爛漫な性格な性格のため、拍なんかを全く気にしない。

さきほどの木村・稲垣だとこれがきれいに聞こえるのだが、どうもこうバラバラになるとゴチャゴチャしてダメになる。もう少しレコーディングに時間をかけていたら良いものになっていただろうに。

 

 

「たいせつ」は28thシングル。もともとシングルの中でも良作だと思うがこのアルバムでは貴重な全体的に明るい曲でさらに聞きやすい。特に間奏の女性ボーカル(SMAPの楽曲ではおなじみ)のところがこのアルバムらしい。強いて言うならせっかくアミーゴなジャケットなんだからサンバ風のリミックスなんかにしてもらいたかった。

 

 

 「ひと駅歩こう」は木村・香取ペアによる楽曲。今では「SMAP解散の原因」だと言われている二人だがこの曲を聴く限り、全く不仲なんかを感じない。ファンの間では木村・香取ペアを「モアイ」という曲から「モアイコンビ」などと呼ぶが、「モアイ」より断然こっちの方が素晴らしい。

木村はこういう路線の楽曲好みなのか他の曲以上に気合いがすごい(笑)。一方の香取は楽曲のイメージに合わせたのか、いつもより落ち着いた感じで素朴な歌声に。気の合う(はず)二人の細かいこだわりが見られる曲だ。

 

 

夜空ノムコウは27thシングル。言わずと知れた大ヒット曲だ。この楽曲のすごさはアルバムでもよく分かる。他の楽曲とは明らかに違う「異質な存在」なのだ。他の楽曲が同じように並んでいたら、この曲だけ頭1つ分、いや2つ分は抜けている、そんなとてつもない存在感を放っているのはこの曲だけだろう。

 

 

「言えばよかった」は歌詞がとても良い。好きな人に自分の思いを伝えたいがなかなか言えず、しまいにはその人が引っ越してしまうというなんとももどかしい歌詞なのだが、青春まっただ中の自分にとってはとても胸に響くものがある(笑)

しかし問題はボーカルである。まず木村のリードボーカルの多さ。中居の大サビ以外ほとんど木村のリードボーカルなのである。次にBメロの酷さ。「Duo」のトリオが歌っているのだが、「Duo」以上の頼りなさ・・・。

そしてなにより一番の問題は「中居の大サビ」。歌下手をウリにしている中居だが、もはやそういう問題ではない。声の状態がぼろぼろなのだ。当時、中居が多忙だったことは分かるがなぜこんな状態でレコーディングしたのかが理解できない。これでゴーサインを出したスタッフの神経を疑う。

 

 

「リンゴジュース」は大ヒット曲「夜空ノムコウ」のカップリング曲。「夜空」とは対照的に怪しげな曲だ。歌詞も雰囲気もおしゃれでかっこいい。そしてなによりボーカルの良さだ。

3人でも不安なのに5人のユニゾンとなるとさらに不安なのだが、その不安を一瞬で払拭してくれる。誰の声も突きだしていないのだ。全員が相殺しあっている(その影響を受けて中居と草彅は犠牲に)。これを「Duo」や「言えばよかった」でやってほしかった。

 

 

「Trouble」は草彅・香取ペアによる楽曲。このアルバムで唯一のHIP HOPになっている。香取ではなく、草彅がラップに挑戦しているが苦手なわりには上手いと思う。香取は昔からやっているためか流石に上手だ。

にしても草彅の存在感がすごく大きい。これまでの楽曲では存在感の無さをずっと指摘してきたが、ここで彼の何かが変わったと思う。ラップだけでなく、メロ部分を全て歌っているということはほぼソロである。香取という自己主張の激しい相方がいるにも関わらずほぼソロ扱いなのは彼の努力があったからだろう。

 

 

「IT‘COOL」は一言で言えば「クールダウン」だろう。すごく爽やかで気持ちの良い歌詞と雰囲気だ。

こちらも「リンゴジュース」と同じく5人のユニゾンだが、誰も突きだしていないきれいな仕上がり(ただしまたも中居と草彅は犠牲に笑)。木村お得意の小アレンジや裏声など「リンゴジュース」には無い場面もたくさんあり、比較しても面白い。

 

 

「世界は僕の足の下」はタイトルがなんともSMAPらしい。怪しい曲や騒がしい曲が多い中、この曲だけ従来の「SMAP」らしさを守っているように思える。「世界に一つだけの花」みたいな。

やはりSMAPらしい曲だと本領発揮できるのだろうか。最もボーカルが素晴らしいと思う。歌詞もパッと聴いたらわけはわからないが、聴いていく内にだんだん理解できてくる深いものになっている。

一つ言うならば、バックのドラムが少し大きくてうるさくなっていることが気になる。せっかくSMAPの歌が素晴らしいのだからそこは配慮してほしかった。

 

 

 

アルバム全体で言えば、一貫したテーマが無かったと感じる。「AMIGOS!」と謳っているなら、ラテンやサンバなんかの曲もいれてほしかった。

それと曲の良し悪いがはっきり分かれたと思う。悪い曲は「レコーディングの時間あんまり無かったんだろうな」とか「風邪引いてたのかな」などといろいろと言い訳が思いついたが、そんなのではカバーしきれないものがあったのも事実である。ニューヨークでの歌録りや豪華なバックがつくなど、良い物があるからと言って、それにのっかり安心するというスタッフの姿勢自体に問題があったからというのも振り幅が大きくなってしまった一つの要因だろう。

スタッフとSMAP達の「意識の違い」「距離の遠さ」なども垣間見える結果となってしまったのだから、あまり好印象を持てないのがこのアルバムの全体像である。

この結果を次のアルバムに活かせているかどうかも気になるところだ。

 

 

 

 

 

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